難攻不落な彼に口説かれたら
ポケットに右手を手を突っ込み、仁は左手でポンポンとソファを叩く。

「ん。何?」

仁に言われるままソファに座ると、仁はポケットからダークグリーンの箱を取り出した。

彼は箱の中の指輪を取り出し、私の足元に跪くと左手を取る。

「これって……」

驚きで目を見張る私を楽しそうに見て、仁は私の左手の薬指に指輪をはめた。

「雪乃、結婚するよ」

「はい」

仁のプロポーズに、条件反射で返事をする私。

私の返事を聞いて、彼はフッと微笑する。

あれ?

返事をしたものの、なんかおかしいって思う。

普通のプロポーズって「結婚して下さい」とか「結婚しよう」って相手の意思を確認するものじゃなかったっけ?
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