難攻不落な彼に口説かれたら
彼と向き合うって、なんだか恥ずかしい~。

さっきまでは痴漢に遭って不快に感じていたのに、今は心臓がドキドキして片岡君に何を話していいのかわからなかった。

それから二十分ぐらいはお互い無言。

彼はいつもと変わらぬ様子なのに、私はずっと緊張状態だった。

だって、非の打ち所のない綺麗な顔がずっと近くにあるんだもん。

どこを見ていいのかわからなくて、片岡君のコートのボタンをずっと見ていた。

車内が空いてきて座席が空くと、彼は私に声をかける。
「椅子に座ろう」

ふたり並んで座ると、緊張が解けたのか瞼が重くなってきた。

ここで寝ちゃいけない!

自分にそう言い聞かせながら何度も目を瞬いた。

隣の片岡君はスマホを操作して画面をじっと見ている。
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