難攻不落な彼に口説かれたら
こうして寝ているとホント眠り姫って感じだ。

高校時代、誰が名付けたか知らないが、生徒会室でよくうたた寝してたし、この綺麗な容姿から〝眠り姫〟と男子の間で呼ばれていた中村さん。

俺と一緒に生徒会の役員をしていた彼女は、男女共に人気があって、先生の信頼も厚かった。

頭も良くて、優しくて、頑張り屋で、まさに優等生という名に相応しかったが、中村さんはしっかりしているようでどこか抜けている。そんなところがみんなに愛された理由なのかもしれない。

『付き合って下さい』って告られてるのに、彼女は『電車で行くの?それとも徒歩?』と意を決して言った相手に天使のような笑みを浮かべて聞き返す。

そんな場面を何回目撃しただろう。結構天然なのだ。

俺が中村さんを生徒会の会計に指名したのも、彼女と一緒にいて苦痛じゃなかったからだ。
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