例えば君に恋しても
「仁に・・・っ」
会いたい。そう言う前に邦弘は好奇心旺盛に「仁兄さんにノりかえたの?」と、私の顔を覗きこんだ。
「・・・何?どういう意味?」
訝しげに見つめ返すと、邦弘は「知らないの?」と、自分の携帯をいじって私に見せる。
そこに映されているのは、昨夜、仁が問題にした例の写真の画像だ。
「なんで・・・?」
体中から血の気が引いていく。
この写真を表沙汰にしない条件で私は新一さんを諦める覚悟を決めて、仁の恋人になる条件をのんだのに・・・。
やっぱり騙された。裏切られた・・・。
仁はやっぱり
どこまでも仁なんだ。
「さっきこのメールが届いたんだ。
今頃大問題になってると思うよ。」
大問題に・・・?
っていうことは・・・
「 新一さんの婚約者にもこの画像が⁉」
「あぁ、香里奈さん?届いてるんじゃないの?知らないけど。
でも、母さんのPC.にはこの画像が届いてたみたい。
だから、この写真の元凶の君がこんなとこにいると大変な目に合っちゃうよ?」
愉快そうにケラケラ笑う邦弘を見て、呆然と私は頭の中を真っ白にさせながら聞いた。
「これで、新一さんの立場はどうなるの?」
わざわざ条件までだして、仁が直ぐにこんなことをするのだろうか?
もしも
仁も立場が危うくなれば
一番に得をするのは誰・・・?
そう
それは
三男の邦弘・・・
「あなたがやったの?」
立ち尽くす私に彼は肩を震わせて笑う。
「まさかだよ。僕は跡取りなんてどうでもいい。
二人の兄さんたちの喧嘩の傍観者だよ。それに・・・」そう言って彼はメールの送り主の名前を私に見せた。
「ね?送信元は仁兄さんになってるだろ?」
・・・確かに。
やっぱり
私は仁に最初から騙されたんだ。