例えば君に恋しても


許せない。

腹立たしい気持ちで唇を噛み締める。

「それに仁兄さんならまだ戻ってないよ?残念だったね。

言付けがあるから伝えようか?」


邦弘の言葉に自分が何をしにここへ来たのかを思い出した。

邦弘は仁の友達である童里の情報を何か知ってるだろうか?

「ちょっと聞きたいことがあるんだけどっ・・・!!

仁の友達の童里って人の事、知ってる⁉」


「なに、突然?

僕は知らないけれど、峯岸と仁兄さんの秘書なら知ってるんじゃないかな?

特に、あの秘書は昔仁兄さんと付き合ってたみたいだったし。

友人関係なら詳しいかもね。」


仁の秘書なんて一度しか会ったことがない。

てか、別れても仁の秘書をやってるなんてある意味凄いな・・・。

でもその人なら童里の連絡先を知ってるかもしれない・・・。


「どうする?でも、仁兄さんがまだ仕事中なら秘書もそうだよね?」

「そっか・・・なら、峯岸さんは?」

「峯岸なら今、母さんに呼ばれてる」

そう言って、邦弘は一番大きな屋敷を指差した。


「元凶の君が今、あそこに入ったらどうなるんだろうね?」

想像はつかないけれど、楽しい思いができないことくらいは分かる。

「それでも知りたい。」

「邦弘さん、私を峯岸さんに会わせて?」

彼の顔を真っ直ぐに見つめると、呆れたような笑顔で

「君はバカだね」と呟く。






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