例えば君に恋しても


「それなら良かった」

耳を疑うような彼女の言葉に理性が勝つ。

「私は香里奈。あなたは?」

「・・・美織。」

「そう、美織ちゃん。私より少しまだ若いのかな?

あなたにはまだまだ時間があるから大丈夫。

私はあなたの味方よ。

お互い一緒にいたい人とずっと一緒にいるために

私に協力してくれるかしら?」



その困ったような笑顔

そう

心がちゃんと反応した。

信じても良い相手のことは

何を知らなくても信じられること。

協力することに一瞬の迷いも感じなかったのは

きっと女同士だから理解できてしまうことがある。


「香里奈さん。


好きな人がいるの・・・?」


私の質問に彼女はただ微笑むだけ。

それが

答えなんだ。


そこの子息として生まれて

決められた道を歩くのがそういう人達の運命だって

まるで刷り込みで信じていたような間違いに、今さらながら気付いた。

新一さんも

仁も

邦弘も

香里奈さんも


名前なんか関係ないただの個人であること。



大切な未来を自分自身で突き進みたい気持ちは

当たり前にあって当然なんだ。


家柄がとか

会社がとか

偏見に身をおきすぎてるのは、当事者よりも周りなのかもしれない。





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