例えば君に恋しても
瞬間、引き寄せられるように目が合った。
漆黒の宝石のような綺麗な瞳。
あまりの美しさに一瞬だったけれど見惚れている私にゆっくり彼女が歩み寄ってきたから、慌てて部屋を出ようと立ち上がった。
けれど、彼女の呼び掛けに足が止まる。
「待って・・・別にどうこうしようなんて思ってないわ。
あなた・・・あの写真に写っていた子じゃない?」
まさかそんな直ぐにバレてしまうなんて・・・
素直に出るべきか
嘘をつくべきか悩んだ。
けれど、その間が逆に彼女に確信を持たせてしまった。
「別にあなたが市橋の誰かと交際していたとしても私は怒ったりなんかしないわ・・・」
探るように
試すような
私の顔を覗きこむ。
「でもあなたは・・・市橋の跡継ぎと婚約しなきゃならないんですよね・・・」
それとも
ただ単に遊び相手に嫉妬するほど弱くはないと言いたいのだろうか?
「あなたは・・・新一くんのことが好きなの?」
さっきから
会ったばかりだというのに確信をつくことばかり。
どう答えて良いのか分からずに俯くと
「時間がないの早く教えてっ」
突然、切羽詰まったような声をだすから驚いてその顔を見上げた。
夕焼けの陽を背に、浮かぶその美しさに見合わないほどね切な気な表情。
嘘をついてはいけないような気がして・・・
初めてこの言葉をちゃんと口にした。
「新一さんが好きです。
きっとこれが私にとっての最後の恋です」
言葉にした途端に溢れ出しそうな感情と理性が戦う。