例えば君に恋しても


「簡単に雇ってくれるような話をしてくれるけど、私なんて特別、何も自慢できるようなスキルなんか持ってないわよ?」

無理矢理、人を連れまわす辺りは兄弟よく似ている。

外に出ると、彼は携帯で誰かに電話をかけ、車の手配をしているようだ。

「だから何処に行くのよ?」


「職場見学。」

「職場?見学?」


程無くして、戸惑っている私の前に一台の車が停まる。

新一さんの時と違って至って普通の車で安心したけれど、こんなことで安堵してる自分もどうかと、自分自身に呆れてしまった。


「職種は?まさか変な仕事をさせる気じゃないでしょうね?」

「変なって、どんな?」

「か、体を売らせたりとかよ・・・」

戸惑いながら問いかける私の頭の先から爪先まで一通り、流すように見た仁は「長い目で見ても君なら内蔵売ったほうが儲かるよ。」なんて、冗談にも聞こえない冗談を言い、車を運転してる彼の秘書と一緒になってくすくす笑った。


「あなた達の笑いのツボがシャレにならない」


吐き捨てる私の機嫌を少しは伺うように仁は続けた。

「住み込のバイトだよ。食費も家賃も一切要らない。

君は俺のお世話係りをしてくれればそれでいい。

それで1ヶ月30位でどう?」

「お世話係りって・・・?」


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