My.doctor…?
「どうした!?」



慌てた様子の先生。

そりゃあ部屋の前で踞っていたら
誰だって心配するか…。



「すみません…ちょっと気分が悪くなって…」


「そうらしいな。顔色が悪い。とりあえず中に入れ」



そう言って先生は自分の鞄から鍵を取り出し、ドアを開けてくれた。


何はともあれ
中に入れて良かった…。



「横になってろ」



言いながら
先生は足早に自室へと消えて行った。


あたしは
一先ず部屋で着替えをし
布団に潜り込んだ。



しばらくすると


――――コンコン…


先生が戻ってきた。







「具合はどうだ?」


「はい。大丈夫です…」



答えたとほぼ同時に
先生の手があたしの額に触れた。




「熱が少しありそうだな」



先生が触るから
熱が上がりますよ…。



「今から喉と喘息を診るからな?」


「はい…」



額から離れた先生の手の感触が
未だ残ってドキドキする中
先生はテキパキと診察の準備を始めている。



「じゃあ服捲って」


「…はい」



いつも通りお腹の辺りまで捲ろうと
洋服に手を伸ばした時だった。



「ちょっと待て…」


「え…?」



なぜか止められた。



「悪い…」



そしてなぜか突然謝って
部屋を出ていってしまった。









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