キラキラmemoriy




「はよー」
「ゆりちゃーん!!同クラだー!!」

1年4組。
1組から10組まであるクラスちょうど真ん中に位置する。
そのせいか、4組前の廊下は一層騒がしい。

「熊、おはよ。」
「届人。」
「またおにぎり食ってるのか?」
「うん、今日はエビマヨ」

熊と呼ばれた、熊谷 祐信(くまや ゆうしん)
好きな食べ物はおにぎり。
デカイ背とガッチリしたタッパが特徴的で、低く渋い声の持ち主。
口数は少ない方で、人に怖がられるのが最近の悩みだ。

話しかけた咲籠 届人(さきかご かいと)は
熊谷よりは低いが、高い人の分類に入る。
くせっ毛の髪は、耳元のピアスを見事に隠している。
軽くき崩した制服は、1年生とは思えない違和感のない着こなし方だ。

「届人、お前…」
「ん?」
「腹減ったのか?」
「あぁ。…朝、食ってないからな。」

そう言うと、届人はカバンから似たようなおにぎりを取り出す。
そしてパクリと食べ始めた。

「中身は?」
「えーと…ハンバーグ。」
「太るぞ」
「げっやめろよ。」

そんな他愛もない会話をしている2人の前に、1人の女子高生が現れた。

「うわぁ…!!美味しそう!!」

ふわりとした、優しい声色。
その声の主は、2人のおにぎりを、キラキラの目で見つめている。

「誰…??」
「んん?」

熊谷の質問が自分に向けられているとわからないのか、なぜか後ろを振り返る女の子。

「いや、お前だよ。」

届人のツッコミに、女の子が自分を指す。

「meのこと??」
「他に誰がいるんだ…?」
「あぁー!!ごめん、ごめん!!おにぎり美味しそうだなぁと思って!」

今にも2人のおにぎりにかぶりつきそうな勢いで顔を近づける女の子。

「これは、何が入ってるの?」

「俺はハンバーグ」
「エビマヨ」
「エビマヨ?初めて聞く!」

少し顔を上げた女の子と熊谷目が合う。

「…」

美しい目に気づいても、熊谷は何も言わない。

「それは、ハンバーガーに似てる!!」

今度は、届人と目があった。

「…」

なんだろう、この目…
引き込まれるっていうか…

「お前、名前は…?」
「友逢。グレーシャ・ディスティニー・友逢(ゆあん)」
「ハーフ…?」
「ううん。meはクォーター。お父さんとお母さんがハーフなの!」

あなたの名前は?とでも聞きたそうに届人と目を合わせた。

「俺は届人。咲籠届人。こっちは幼なじみの熊谷祐信。」
「よろしく」
「くまさん!!…と……さきくん、かごくん、届人くん…うーんと…届人くん!!」

なぜ呼び方にこだわったのか不思議ではあるが、届人と熊谷はその呼び名をすんなりと受け入れた。

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