【完】螺旋のように想いを告げて


 そう。俺は大事なことを忘れていた。
 祐介に相談されて、あいつは告白すると宣言していたんだ。



 咲良のことばかり気にして、友達としてありえない。
 夏休みになる前に告白すると二度も聞いたはずなのに。




「さっき、告白したんだ」

「さっき!?」

「職員室から戻る時に」




 いくらなんでもタイミングが悪い。2人で怒られて、その帰りに告白したってことか。



 もっとオーケーしやすい状況を作らなければ駄目だ。何をやってるんだと心で舌打ちする。




「それ、で?」




 ドキドキする。違う。これは心配。不安。ざわざわする気持ちは、咲良が遠くへ行ってしまうことへの焦り。




「駄目だった」

「……そっか」

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