【完】螺旋のように想いを告げて
大切な思い出
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卒業式は残念ながら曇り空。
せっかく咲いた桜もどことなく寂しげ。
式が終わると、校門や校舎はあっという間に写真撮影の会場になった。教室もそんな感じではあったが、1時間も経つと腹が減ってきてみんな場所を変え始める。
昼の12時。
誰もいなくて、しんと静まり返った教室は少し怖い。淋しさよりも辛さが先に立つ。
誰が落書きしたのか、黒板にぎっしりといろいろ書いてある。
"またね"
"愛してるよ、先生"
"今から本気出す"
思わず笑ってしまう。
誰だよ。早く本気出せよ。お前、大学受かったんだろうな?
「亮ちゃん! あ、いた!!」
相変わらず咲良は俺を捜して、いつものように接してくる。
どんなに冷たくしても、変わらない笑顔を向けてくる。本当に不思議な奴だ。