【完】螺旋のように想いを告げて
・・・
俺は咲良の唇から離れ、だいぶ明るくなってきたカーテンの向こうを見る。
今思えば、あれは咲良の初めての告白だった気がする。そして、俺はそれに応えていたんだ。
キスをしたことで思い出した。
キスで目覚める記憶とか、童話じゃないんだから勘弁してくれ。
というか、俺は何をしたんだ。大人しく寝ている女に、勝手に!
しかし。
「螺旋……か」
咲良がそんな話をしていた。
あのオイル時計は今でも持っているんだろうか。
もしも、咲良があの日と同じ気持ちでいるなら、きっと持っている。