【完】螺旋のように想いを告げて

 理乃ちゃんは俺が言葉を発する前に立ち上がる。
 いろいろ話してスッキリした表情で、俺に微笑みかけた。




「頼んだよ」




 彼女はそのままラーメン屋から出ていく。最後まで俺は何も言えなかった。



 早く助けろと言われても、簡単には返事が出来ない。
 頼むなんて言われて、わかったとも言えなくて。何も出来ないことが悔しい。



 だいぶ冷めてしまったラーメンをすする。
 汁まで飲みきった後で気づく白い伝票。




「俺が払うのかよ……」




 最後の最後に、理乃ちゃんに騙された気分になる。



 とても怖くて、強くて、優しくて、友達思いな理乃ちゃん。
 咲良以外の友達がいないなんて信じられないくらい、魅力的な女の子だ。

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