【完】螺旋のように想いを告げて
遠目でもいい。咲良に会えてよかった。走り出しそうになる足を堪える。
俺はそれ以上、咲良を見ないように歩き出した。
「咲良」
「なに、理乃ちゃん」
「あたしも咲良みたいに、人を好きになりたい。雨宮みたいな人、必ず見つけるから」
「どうしたの? 理乃ちゃん」
「ん……ちょっと、ね」
「なによ、それー!」
咲良がいるから、みんなが笑っていられる。
俺のしたことは間違っていない。
そう思いたいだけかもしれない。それでも俺の希望だ。僅かな光でも。