【完】螺旋のように想いを告げて
溢れそうな生クリームを口に含みながら咲良が笑っている。口についたままだから、早く拭けと言いたい。
チョコのかかったバナナを頬張りながら、祐介が電話している。食べるのか喋るのかどっちかにしろ。
突っ込みたくなる。そんな姿に安心するのは、やっぱりこいつらが好きだからだ。
こんなに近くにいるのに、どうにもならない事実を突きつけられて避けるしかなかった。いつも笑っていてくれたのに、見ないふりをしていた。
後悔したって、それを受け止めて生きている。
2人は強い。俺はきっと弱かったから、あんな願いに振り回されてしまった。
後悔をやり直せるのならと思って、甘い言葉にのった。今更、変えようがない。もっと早くに気づくべきだったんだ。
でも時々思ってしまう。あれは夢だった。
咲良が死んだことも、姫巫女も夢で、本当は何もなくて。告白出来るんじゃないかって。