【完】螺旋のように想いを告げて
「それにお主の広げた契約書。婚姻届というのか。これは想いを告げたということになると、考えなかったのか?」
「考えたさ。でも、これはあくまで契約。就職の最終面接みたいなもんだ」
「屁理屈だな」
駄目だった。そう思うと怒りがこみ上げてきて、どうにもならない。感情のセーブが出来ない。
姫巫女を殺したいとさえ、思っていた。
「そうだ。屁理屈だよ」
言葉が止まらない。
何とかして想いを伝えようと努力したが、結局は無駄になったんだ。
「想いを伝えないまま、ずっと幼なじみでいる選択もある。自分が辛いから危険を冒して契約という形を取ったと思われても仕方がない。でも違う。俺のことはどうでもいい」
我ながら低い声だ。怒りをそのままぶつけるなんて俺らしくない。
冷静さなんて忘れてしまったみたいだ。
姫巫女は静かに聞いていた。時の止まった教室。音のない世界で。