【完】螺旋のように想いを告げて


 ・・・


 気がつくと、俺はオイル時計を咲良の前に置いていた。



 姫巫女がいなくなったと同時に、時間も少し巻き戻ったらしい。婚姻届もまだ胸の中。



 こうなれば婚姻届など、今はどうでもいい。先にやらなければならないことがたくさんある。




「はっきり覚えてるよ。オイル時計と、螺旋のこと」




 オイル時計を手に取って、愛おしそうに咲良が言う。




「すれ違ってばかりで、俺たちみたいだったな。咲良の言う通りだった」

「ほんとだよ」




 不貞腐れた顔をして、オイル時計で遊び始める。



 俺の顔を全く見ないのは、相当怒っている証拠だ。
 怒っているというよりも、変わっていった俺を捕まえようとして疲れた感じ。



 叶わないだろうと投げやりになって、どこか諦めている。
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