【完】螺旋のように想いを告げて

「ごめん」

「謝らないでよ。悲しくなるだけだから」




 咲良を守りたくて叶えた願い。
 いつの間にか代償によって、俺の心は蝕まれていった。



 咲良がいるなら幼なじみでいい。



 そう思っていたはずの心は、いつしか幼なじみではない咲良を求めていた。



 俺は本当に心の弱い人間だ。
 でも、もう逃げ回るのはやめた。だから今日、この場所に来たんだ。




「咲良。俺、やり直したい」

「やり直す?」

「高校。ここで俺の時間は止まったままなんだよ」




 教室を見渡せば、今でも思い出せる。



 咲良の爆弾おにぎりや、夫婦漫才や、祐介を含めてバカ騒ぎしたり、先生に怒られもした。



 楽しかった思い出が変わってしまったのは、俺の願いのせいだ。

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