【完】螺旋のように想いを告げて
「あー。俺は知らない。なにも聞こえない」
「コラ! 亮ちゃん!!」
俺は耳に手をあてて、聞き取れないぞアピールをしてみる。
「どこの政治家なのよ!」
「政治家に謝れ。きっと聖徳太子並に様々な声を聞く職業なんだ」
「あのね。政治家のことはどうでもいいの!」
「で? さっき理乃ちゃんに呼ばれてたけど?」
わざと話題を変えてみる。
我ながらあからさまな時間稼ぎ。それがわかったようで、いつにも増して目付きが悪くなる。
そのまま祐介を睨みつけるように見た。
「祐介くんの好きな人って、理乃ちゃん?」
「ふえ!?」
反応したのは祐介だ。まさか金髪ピアスのクラスで1、2を争うほどの美少女を祐介が狙っているなんて驚きだ。
いや、違う。これは咲良の罠だ。
「あ?」
自分の名前が聞こえたらしい理乃ちゃんが俺たちの方を向く。