【完】螺旋のように想いを告げて


 俺の今までの焦りと恐怖を全てぶつけてやりたい。
 その前に、怒って出ていったんじゃなかったのか。




「なに? 亮ちゃん」




 ハンドタオルで手を拭きながら、首を傾げる。



 俺は思わず、

「トイレかよ!」

 叫びながら咲良の頭を手のひらで殴っていた。




「いったーい! なにすんの!」

「うるさい!」

「ちょっと酷くない?」




 口をふくらませる咲良。先生が俺たちの間に入る。




「なにがあったか知らないが、夫婦漫才なら家でしろ」

「夫婦漫才じゃない!」

「夫婦漫才じゃねえ!」




 声が揃ってしまったではないか。
 恥ずかしすぎる。




「さあ、授業始めるぞ。教室に戻った、戻った」




 先生に背中を押されて教室に入る。咲良はまだむくれていた。

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