【完】螺旋のように想いを告げて
「ちょっと楽しかったけど」
「は?」
「いいから、いいから。教室、もう誰もいないからそっち行こう!」
急に照れる祐介に、俺は声をかけられない。
どこかで気づいていたのだと思う。でも信じたくないというか、耳を塞いで、目を閉じて、ずっと知らない振りをしていたんだ。
咲良が違う男の隣にいるなんて考えたこともない。
考えたことがないだけで、本当はありえるんだって何で気づかなかったんだろう。
咲良がいつまでも、俺の隣にいる保証なんてない。幼なじみでいる限りは――――。
裕介から話があるなんて初めてのことだ。
しかも改まって。
咲良抜きで話したいことがあるって、裕介は真剣な目をしていた。