【完】螺旋のように想いを告げて


「お疲れ様」




 言ってから坊主頭を撫でてやる。この感触がなかなか気持ちよくて癖になる。




「また触る」

「1日1回は触っとかないとな」

「やめろー」

「疲れ切った顔で迫力ないぞ」




 どれだけ走ったのかはわからないが、とにかくお疲れ様と言うしかない。



 しばらく待ってから話とやらを聞こう。今すぐに問い詰めて聞きたいほど、気になっているんだけどな。




「咲良に追われてたわけ?」

「鬼の形相で」

「あいつ、しつこいなぁ」




 咲良が追いかける姿が目に浮かぶようだ。



 自分の知らない所で、俺たちが話をするのが余程嫌いなんだな。
 今回は祐介にも原因があるように思うけど。咲良は結構な地獄耳だ。

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