【完】螺旋のように想いを告げて



 2階の咲良の部屋。
 確か、最後に入ったのは小学生の頃。



 殺風景で、ミニカーなんて転がっていて、出しっぱなしで片付けない。俺の部屋と変わりないくらい男っぽかった。



 今は女の子らしいピンク色が大半を占める部屋。



 ドレッサーには数々の化粧品があって、そんなに化粧してたかな、なんてその顔を思い出す。



 そばにある大きい鏡に、毎日あいつが映っていたのだと思うと愛おしくて仕方がない。



 ほんのりと香るのは、多分香水。



 いつもはあんな感じだけど、誰よりも女の子だ。きっとクローゼットの中の洋服も可愛いものばかりなんだろうな。

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