【完】螺旋のように想いを告げて
祐介もあの後、散々泣いて落ち着いたからと言って帰った。
落ち着くわけがない。
あいつは大丈夫だっていつも嘘をつくんだ。だから、あんなふうに泣く祐介を見ていると苦しい。
苦しいのに、俺、涙が出ないんだよな。
辛ければ辛いほど涙が出ないって聞くけど、それなのかもしれない。
そんな経験したくなかった。
深く考えるのはやめよう。
思い出して、俺はキッチンに向かう。何があったかなと考えながら冷蔵庫を開けた。
「おにぎり……」
胸が苦しい。
そうだった。ここに咲良の置き土産があったんだ。
昨日と同じ状態の爆弾おにぎり。
俺はその中のパックに入ったものを手に取る。相変わらずずっしり重い。