【完】螺旋のように想いを告げて
「おばさんから伝言。ちょっとコンビニ行くから、夕飯は適当に食べてねって」
「明日は確か会議とか言っていたかな」
「よく知ってるね。いきなり決まったとか言ってたよ?」
「あ……えっと。メールで……」
しまった。また失敗した。
まだ会議の話はしてなかったんだっけ。
もう一度、同じ日を繰り返すのって結構難しい。
言う前に、とにかく考えなきゃならないな。
正直、面倒。
「ありがとな」
「え?」
「その、母さんの伝言。俺に言うためにずっといたんだろ?」
咲良の体ってこんなに小さかったんだな。
あの頃と同じだと思っていた。俺の頭はいつもお花畑すぎて気づきもしなかった。
同じ目線だと思っていたのに、いつの間にか俺は咲良の身長を抜いていた。
俺は男で、咲良は女で。
変わっていっていたのに、気づかないなんて本当にどうかしている。