Dance in the rain
翔也の気だるげな視線が、あたしをとらえた。
そして、むって眉をひそめる。
「おい花梨? 何やってんだよ、早くよこせ」
「う、うんっ……」
ためらいつつ、歩み寄った。
「さんきゅ」
コップを額に押し当てて目を閉じる翔也の隣に、
ほんの少し、距離をあけて座る。
う。
ビシバシ、値踏みするような視線を感じる……。
もう少しかわいい服、着て来ればよかった……。
いかにも、って格好も恥ずかしくて、いつも通りのTシャツとジーパンにしちゃったこと、あたしは猛烈に後悔してた。
もう少し離れた方がいいかな、って腰を浮かせた時。
いきなり、肩がずしって重たくなった。
「しょ、翔也っ!?」
重みの正体が翔也の頭だって気づいて、あたしはドギマギする。
「わりぃ、ちょっと肩かせ。頭まだぐらぐらする」
「う、うん……」
カチンて、不自然に固まりながら「ごめんね」って謝った。
「翔也が絶叫系ダメって知らなくて」
「お前が謝ることねえだろ。どこでもいいって言ったのはオレだし。つか、オレ……」
黙り込んだ翔也に、あたしはちらって顔をあげた。