Dance in the rain
「あ」
確かに。
2重になったお姫様ドレス。
上のゴールドのオーガンジー素材が見事にビリって裂けて、下の布地が見えてる。
転んだ拍子に破れちゃったのかも。
「みんなとおそろいなのに……」
ぽろぽろって頬をつたう涙に、あたしはオロオロ。
そっか、自分だけ破れたドレスじゃ嫌だよね。
でもどうしてあげることも……
すると。
ふわり。
美央ちゃんの体が宙に浮き上がった。
え?
「翔也?」
「事務所行くぞ」
美央ちゃんを抱き上げた翔也が、勝手に歩き出してしまう。
「え? 事務所? 迷子のアナウンスしてもらうの?」
尋ねても、答えてくれない。
「ちょっと待ってよ、翔也ってば!」
どんどん先へ行く翔也を追って、あたしは駆けだした。