Dance in the rain

「アナウンス、してもらった方がいいかな」
「あぁそうだな」

女の子の前に膝をついて、視線を合わせた。
「あたしは野々宮花梨ていうの。あなたの名前、教えてくれる?」

女の子は少しためらってから、「美央」ってつぶやいた。
「美央ちゃんね。今日は誰と一緒に来たの? パパ? ママ?」

美央ちゃんは首を振る。
「れなちゃんと、あいなちゃんと、ゆうきちゃんと、えりかちゃん。それから、れなちゃんのママと、えりかちゃんのママと……えっと……ええっと」

えーと、つまり……。
「お友達と、お友達のママたち?」

そう聞くと、今度はこくんてうなずいてくれる。

「じゃあ、お友達、一緒に探しに行こう」
差し出したあたしの手を拒むように、美央ちゃんはふるふるってまた首を振った。

「行けないの」
「行けない? どうして?」

「やぶけちゃった、から」
うるうるって、大きな目に涙が盛り上がる。

破けた?
あたしと翔也は顔を見合わせて。
そして同時に美央ちゃんのドレスを見下ろした。
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