Dance in the rain

イタ……タ……

チクチクと痛みがあたしの意識を揺さぶって。
目をこじ開けると、そこは青白い蛍光灯が光る、見慣れない四角い部屋だった。
窓の外は、真っ暗。

ここ……どこ?

「あら、気が付いた?」

ボードに何かを書きこんでいた白い服の女性——ナースが、あたしを振り返った。
あ……病院、か。

一気に、記憶がざわぁって波みたいに押し寄せてきた。
そっか、あの交差点で……

「あたし……車に、ひかれたんですか?」

そう尋ねると、ナースはなぜかくすくすって笑い出した。
「大丈夫よ。運動神経いいのね、あなた。絶妙にうまく避けたみたいよ。でもその拍子に転んで、アスファルトで頭打っちゃったけど」

……は?
ぶつかったのって、車じゃなくて、地面なの?

うわ……まるでコントだ。アホすぎ。
あたしはがっくり、全身の力を抜いた。
< 22 / 264 >

この作品をシェア

pagetop