Dance in the rain
「あ、でも見に来ると言えば……」
って、久美さんがあたしを見た。
目をキラーン!て、輝かせながら。
「内緒にしておこうかと思ったんだけど、やっぱり教えちゃおうかな」
「はい?」
「今日ね、なんと会場に牧星羅(まきせいら)が来るのよ!」
周りの音が、かき消えた。
「知ってるでしょ? 北米最大にして最高って言われるダンスカンパニー『ファン・タン・アレー』で、日本人初の正団員に選ばれた、天才ダンサーの牧星羅! 今週東京公演があって、このホテルに泊まってるらしいんだけど。支配人がショーの話をしたら、たまたまヴィヴィ・ランの服のファンだったらしくて、ぜひ見たいって……」
興奮してまくしたてる久美さんの声は、もうあたしに届かなかった。
牧星羅。
星羅が、来る……?