鈍感過ぎる彼女の恋は。《完》

店内の雰囲気も素敵すぎるし、料理の盛り付けも味も本当に最高だった。

ただ目の前の人が食べながらじっとこちらを見ているのが頂けないが、それももう慣れてしまえば気にもならない。
慣れってすごい。


「社長、このお店予約なかなか取れないのに凄いですね。」

「まぁな。」


…会話が続かない。
それももう慣れては来てるんだけど、社長こそそんな仏頂面で…私なんかと食事していて楽しいのだろうか?

でも今やりたい仕事に関係があるのだろうし、こんなとこ一人じゃ来れないし…まぁいいのか。
そこまで考えてふと思う。
この人、彼女とかいないんだろうか。

年は5個上って言ってたから30でしょ?
でこんだけイケメンで社長なんだから…何人かいてもおかしくないよね。

だけどその手の話は今の所チラついていない。

いたらネクタイ選びになんて付き合わないで済むのに。けどいたら私の仕事なくなるな…。


食べ終わり手帳に何かを書き込む姿もいつもの流れだ。


「行くか。」

「はい、ご馳走様でした。」


払う払わないの押し問答ももうしない。
散々やりあって、給料が出たらご馳走する事に落ち着いた。

本当に頑固な人だ。
おそらく向こうも思っているだろうけど。
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