鈍感過ぎる彼女の恋は。《完》
「おっフォッフォ、みんな驚いたじゃろ〜〜??」


そう言いながら登場したのは、今最も会いたかった人物。


「社長!!これ一体どういう事なんですか??」

社長に駆け寄り腕を掴む。

きっとこの場で一番焦っているのは私だ。
だって自席が抹消されてるのは私だけなのだから。


「お〜小笠原くん。サプライズ成功じゃろ?」

「いや、成功って言うか…」


私クビなんですか!?と聞こうとしたら、別の誰かの声でかき消される。



「皆さんおはよう。今日付けで社長に就任した蓮水です。これまで以上に業績を伸ばすつもりだから、厳しくするけど付いてきてくれ。」


必死すぎて気づかなかったけど、社長の後ろにいたらしいその人は、自分が社長だと名乗った。とてもいい声で。


低く響く声と、高い身長、整った顔、堂々とした振る舞いに、その場に居た女子社員はみんなうっとりしてしまっている。

いや、待ってくれ!惚けてる場合じゃないよ!今とんでもないこと言ったよこの人!!
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