鈍感過ぎる彼女の恋は。《完》
「高本?」

どうしたの?と顔を覗き込む。
いきなり頭を抱えてどうしたと言うんだ。

するとこちらを向いた高本はこう言った。


「ここ何年も恋愛して来なかったんだろ?いきなり相手があれで大丈夫なのかよ。」


まぁ正論だとは思うけど。
大学卒業してからは色恋沙汰とは無縁だし、社長相手なんて不毛なのもわかってる。


「相手って言っても…別に付き合おうとか言われたわけじゃないから、そんな事にはならないと思うよ。この前のも気まぐれだろうし。」


自分で言ってて虚しいけど、女子社員全員が狙ってるようなイケメン社長が私の彼氏になんてなり得ない。

あのキスだって、たまたま目の前の私が気に触るような事を言ったから嫌がらせのつもりでしたに違いない。
皮肉にもそのキスで気持ちを自覚してしまうことになるのだけど。


「お前…マジで自覚……

いや、そうだな。あの社長の事だからあり得る。」

「だよね。」


そう結論が出た頃に、注文していたオムライスとカレーが運ばれてきて、私達は黙々と食べた。


それぞれに想いを抱えて。

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