鈍感過ぎる彼女の恋は。《完》
クビ以外の返答を願っていたけど、これはちょっとマジで予想外。

てかあたしバリバリの営業事務なんだけど。
秘書って資格とかいるんじゃないの?


「あの、何故あたし…?」

「お前の仕事ぶりを評価したまでだ。昇給もある。」

「え!それ本当ですか?でも私資格も何もないですよ?」

「大丈夫だ。そんだけ俺に堂々と喋れんなら。」


堂々とって何だよ…こっちは職を失うかどうかの状況だったんだっての。必死にもなるわ。

まぁでも、仕事を評価されたのは素直に嬉しい。私に務まるのなら、やるしかない。
資格は追々勉強するとして。

決意を新たに前を向く。


「よろしくお願いします、蓮水社長。」


働く意思を見せようと、ぺこりと丁寧にお辞儀をする。

そして頭をゆっくりあげたら、間近に整った顔面が迫っていて、思わず悲鳴をあげそうになる。

さっきまでデスクに腰掛けていた蓮水社長の鼻先が、触れるほど近くにある…この状況何!?



「星1個。」



そう言うと、瞬きしている間に元の位置に戻っていて、また片方の口の端をあげて不敵に笑う。

わけもわからず硬直していると、さらにもう一言。



「俺五つ星のものが好きなんだよね。ホテルもレストランも。」



今日から私の直属の上司になる蓮水という男は、威圧感と失礼の塊の様な男だった。
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