溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


昼休みを迎えたオフィスで、窓の外を覗いていた女子社員が急に大声を上げた。


「ねえ! 来たよナナセ! やばい顔ちっちゃい! スタイルいい~」


その声に反応した社員たちが、窓際に続々と群がっていく。

私は自分のデスクで一人、コンビニ弁当を口に運びながら、ぼんやり思い出す。

そういえば、今日はこのビルで撮影があると先週上司が言っていたっけ。

このボロ(古)い建物も、見る人が見ればお洒落な雰囲気らしく、ファッション雑誌の撮影に使われるらしい。その一団がビルの前の到着したのだろう。

ナナセというのは、その撮影の主役、今一番人気の女性モデルさんの名前。

日本人離れした華やかな顔立ちに、百七十センチの長身。その完璧な容姿とは裏腹に天然な部分があって、最近はバラエティ番組なんかにも引っ張りだこだ。

そういえば、駅前の巨大看板で可愛いバッグを手ににっこり笑っていたのもナナセさんだったな。そんな人気者が職場に来るなんて、結構すごいことだよね。

とはいえ、撮影はオフィスの中までは入ってこず、一階の喫茶店と廊下、階段を使って行われるだけ。

私たちが仕事をしている間にナナセさんも撮影隊も帰ってしまうらしいので、結局は平凡な一日が過ぎていくだけだ。



< 123 / 231 >

この作品をシェア

pagetop