溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
嘘だということは、彼女の様子を見れば一目瞭然だった。やはり、青森で俺が見た金髪のギタリストこそ、あの“リーチ”だったのだと確信する。
でも、稀華が嘘をつく理由が俺にはわからない。夢を叶えたアイツが迎えに来ることは、彼女にとって喜ばしいことではないのだろうか。……なんて、妙な期待を抱いてしまう。
「なら、まだ……お前は、俺のものだよな?」
無意識に独占欲を滲ませた発言をすると、稀華は意表を突かれたように大きく目を見開いていた。俺はハッとしてすぐに後悔し、「忘れてくれ」と撤回するしかなかった。
こんなすがるような真似をするなんて、格好悪い事この上ない。それほどまでに俺は切羽詰まっているのか……。
気分を変えるためにシャワーを浴びている間、ずっと考えていた。
……俺は、稀華をどうしたいんだろう。
このままズルズルと同居生活を続けて、あの男が迎えに来たとしても断固として彼女に会わせず、彼女に俺だけを見つめるように仕向けたとしたら……それで、満足なのか?
稀華は優しく、自分より他人を優先してしまう性格だ。俺の気持ちに気が付いたら、たとえ本当はあの男のもとに戻りたくても、自分を殺して、俺のそばにいることを選んでもおかしくはない。
でもそれは、アイツにとって、幸せなのだろうか。俺が彼女にしてやれることは、一体……。