溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
さんざん悩んだ挙句、俺が出した答えは――。
「待たせて悪かったな。……叶えてやる。お前の願い。だからイブの夜、ちゃんと空けておけよ?」
たった一日だけ……彼女の望んだとおり、恋人として過ごす。
それを最後に、自分の気持ちには固く目をつぶることにしようと決めたのだった。
*
それからクリスマスまでの日々は忙しく過ぎていき、あっという間に当日まであと一週間となった。
とはいえデートの準備はすでに完璧に済ませていたし、あとは稀華の喜ぶ顔を想像しながら、当日を迎えるのを待つだけ。そんな、穏やかな気持ちでいた日のこと――。
「副社長、ちょっとよろしいでしょうか。今、お客様が見えていて……」
いつも通り、本社の副社長室で、デスクに向かい仕事をしていた時だった。専属の男性秘書に言われて顔を上げた俺は、首を傾げた。
「今日のこの時間、アポはなかったはずだが?」
別に責めたつもりはなく、自分の記憶違いを確かめるためにも秘書に問う。
「ええ、そうなのですが……。どうしても、直接会ってお願いしたいことがあると」
俺は腕時計に視線を落として、「少しなら時間が取れる」と返事をした。
「……で、誰なんだ?」
「名前は、成瀬理一と申しています。その名前を出せば、副社長は自分に会うはずだと受付に居座っているようで……もし心当たりがないようでしたら、警備員を呼びますが」