溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「……完全に見世物になってるな」
「えっ?」
辺りを見回すと、人は少ないながらも完全な無人ではなく、確かに周囲からいくつかの冷やかすような視線を感じる。さらにはすれ違いざまの外国人が口笛を吹いて行ったりもして、かああっと顔が熱くなった。
よく考えたら、公衆の面前で何と恥ずかしいことを……!
羞恥であわあわする私に対し蓮人は意外に冷静で、腕時計を見ると私の頭にポンと手を置いて言った。
「……名残惜しいところだが、しばらくサヨナラだな」
「あ、え? もう、時間なの……?」
今回の海外出張は、半年間に及ぶと明神さんから聞いていた。お互いの気持ちは通じ合ったとはいえ、こんなにすぐお別れだなんて、寂しいな……。
心細い思いで彼を見上げると、蓮人はすまなそうに目を細めた。
「俺は、完全に失恋した気でいたから……さっさとお前から離れないと、自分がどうにかなると思ったんだ。ホントは明日の朝の出発でも間に合うのに、深夜便なんか選んだのはそれが理由だ。……なかなか女々しいな俺も」
自嘲する蓮人に、ふるふる首を横に振った。
「そんなことない。……私は、どんな蓮人でも好きだよ」
そう言って微笑み、蓮人の手をぎゅっと握れば、彼は空いている手をくしゃっと前髪に差し込み、「お前は……」と低い声で呟いてため息をついた。
え。私、何かまずいこと言った……?