溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
『甲斐様。明神(みょうじん)様がお見えです』
あれは、昨日の……マンションの入り口にいたホテルマンみたいな人だ。
「ああ、ちょうどよかった。通してくれ」
それだけ言った甲斐はモニターを切り、床に座ったままの私を振り返る。
「朝メシと、お前の服が届いた」
「えっ?」
「いくら何でもその格好じゃ外に出られないだろ。昨夜お前が寝た後に、手配しておいた」
そりゃ、そうだけど……。自分の格好を確認して納得しつつも、“明神”と言う人は何者?と怪訝に思ってしまう。
だって、昨日の夜頼んですぐ朝に届くって、ただの宅配じゃないよね?
色々考えている間に、今度はさっきとはと別の音色のチャイムが鳴った。
おそらく、さっきのはエントランス用で、今度はこの部屋に直接ついているものなのだろう。
甲斐はソファの背に掛けてあったTシャツをかぶりながらリビングを出ていき、ほどなく玄関のドアが開く音がした。
まさかとは思うけど、その“明神さん”って、家の中まで入ってこないよね……?
そんな心配をしながら耳を澄ませていると、騒がしい足音が近づいてきて、勢いよくリビングのドアが開けられた。
私は身だしなみを整える間もなく、びくっとしてドアの方を向く。