黄金のラドゥール


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面会の日程は難なく調整された。
次回の儀式を担う神官がひとまず保留とされ、神官長ミムリが当分代わりを担うことになり、城に来ることが頻繁になったからだった。

ミムリは告げられた日時、第3皇子コウジュンの執務室に通されていた。
朝の明るい日差しが差し込む、白を基調にした部屋だった。

正面には第3皇子とその隣にラドゥールだと紹介された女性が座っている。彼女のすぐそばに侍従らしき男、そしてミムリの近くにこの面会を取り持った近衛騎士団長のユンハが立っていた。
今日のユンハはなるほど騎士団長らしいりっぱな服装をしていた。
ミムリのほうも、深青色の神官服に身を包み、その姿は、若いとは言え、聖職者らしい厳かな雰囲気を醸し出していた。
お互いが見違えたような姿に驚いていた。

リトはというと、たっての願いということで、ラドゥールにお目通りの挨拶だけさせてもらい、別室待機している。


皇子からは、次回婚姻の儀式の神官について、亡くなった神官ギムリについて質問がなされた。

ミムリからはラドゥールへ質問をしたが、その返答は侍従を挟んでなされたため、ラドゥールが直接言葉を返すことはなく、何の手応えも感じられなかった。

しかたなく、ラドゥールの一挙一動、その顔色をじっと観察してみたが、さしたる収穫も得られないまま時間だけがあっという間に終わりを告げていた。


「ではこれで失礼させて頂きます。

また機会がございましたら。」

神官長ミムリは第3皇子に深く一礼すると顔を起こした。
そのまま退室する以外なかった。


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