黄金のラドゥール
花祭り
花々は色とりどりに咲き誇り、いよいよ花祭りの時期がやってきていた。
城下は各地からの人々で大変な賑わいを見せている。



「ご準備、よろしいですか?」
ハルの傷は医員も驚くほどの早さで癒え、多少の外出なら無理はないほどに回復していた。それでもいつまた刺客が襲ってくるかわからない。本当ならこのままどこかにかくまっておきたいところなのだが、国民の期待は高まっており、ラドゥールの参加は避けられなかった。
「ええ。」
ハルは外出用の衣装をまとっていた。
「繰り返しになりますが、
くれぐれもご無理はなさらずに。
傷は癒えたとはいえ万全ではありません。」
ハルはこくんと頷いた。
「国民はラドゥールが来たということで喜ぶでしょう。今日はそれで充分なのです。
いいですね。」
ユンハの気遣いにハルは微笑んだ。
「ありがとう。」
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