黄金のラドゥール
「何故おまえがここにいるか、だが、」
青い瞳に前髪がさらりとかかる。

「我々が見たのは、おまえが天から落ちてきたところだった。

湖面に姿を現したおまえは満月の光を全身に受け、その場の者が皆、息を飲む程に神秘的な現れ方だった。」

「落ちてきた!
そうよ、落ちてたわ、私、確かに!」

「その方法については分からないが、」

「それは私にも!
だって気付いたらもう落ちてたから、、」

「天が私に遣わしたのだろう。」

否定しようと開いた口は見事に塞がれてしまう。
「あのような現れ方だったのだ、あり得ないことだと思うが、もし、あの儀式に降りてきたのが何かの戯れで、

まさか、此の期に及んでラドゥールでは無いと言うのなら、、」

青い瞳がすぅっと冷たい光を放つ。


ごくり、、

「なら、、?」



「王族を謀った罪は死を持って償ってもらう。」

全身がぞくりとした。



「どうした?顔色が優れぬようだな。

まぁ、そのようなまさかの話は必要ないだろうが、伝えておいたまでだ。

私のラドゥール。」
最後は念を押すように。


「よく聞くがよい。
私はおまえの出自や経歴は問わない。

おまえがラドゥールとして、正妃として私のそばに居る限り、私はおまえを守ろう。」



有無を言わさない、

そんな瞳だった。


「では侍女に着替えを持たせよう。

着替えるといい。」




ーーー王族を謀った罪は死、、


私、なんて夢を見てるの、、!!



「失礼致します。」

声が掛かり、部屋に入ってきた人たちを見て、私はやっぱりまだまだ夢の続きなんじゃないかと疑わずにいられなかった。

願わずにいられなかった。
夢なら、、早く覚めてーーー!!!
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