黄金のラドゥール
そして、外に出れないまま、、


更に数日が経っていた。




もう何度目かの深いため息が出てしまう。
「ちょっとは外に出たいな、、」


バルコニーへ続く大きな窓から外が望める。
青い空と緑の木々が見える。

窓の向こうはこんなにいい天気が広がっているのに、まるでカゴの中のよう。
とても気持ちが滅入ってしまう。

ただ窓から見える限りの空と木々を見ているしか出来ない。そう、それしか見えない!
窓の下は庭になっているようにも見えるのに、この部屋の扉さえ越えていけないのだから。

小さな机に向かって座り、ペンを握ってはぐるぐると言葉に出てこないすごく大事な何かを思い出そうと試みている。
ニホン、、何も思い出せない。
思い出そうとしても、頭の中に壁があるみたいに、そこにたどり着けない。頭が真っ白になる。

「ぁぁぁぁ、だめだぁ、、」

青い空がうらめしくなってしまう。

ニホンって、どこにあるんだろ、、
天の国、、だったのかな?
ラダ国ってニホンと近いのかな、、?



そんなことをぶつぶつ考える時間はたーっぷりある。


アユールはお茶を用意すると言って部屋を出てしまっている。

「ちょっとだけ、、」

思い立って立ち上がる。





隣の執務室への扉へ初めて手をかける。


『来客中だったら?』


細く、そっと押し開けてみる。




いない、、?

誰もーー?
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