黄金のラドゥール
「皇太子、後はそちが取り計らうように。」

「はい、国王陛下。

儀式に良き日を再度占わせます。」

黄色い上着に金糸で刺繍の施された、細身の男が現れた。国王陛下の一段下で首を垂れている。


ーーあの人が皇太子?


「国王陛下、その者の肌が良いのはもしや、、、いえ、


これは噂でございますが、
第3皇子の寵愛が深いためではーーー」

「噂とな?」

「はい。

皇子が今日まで参らなかったのは、天からの花嫁を部屋から一歩も出さず毎夜愛でているためではないかと、噂になっておりましたので。

これは提案ですが、もし皇子が望むのであれば、その者を正妃に迎えてはいかがでしょうか?」

にゅっと微笑みを貼り付けた顔はまるでへびのようだった。



ハルは背筋に悪寒が走るのを感じた。

ーーコウジュンと義理の兄弟と聞いたけれど、全く似てないみたいーー
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