嘘つきな恋人
翌日のほとんどもベッドで過ごし、

裕人さんは私が眠っている間にコンビニでご飯や、飲み物を用意してくれて、

私が目を覚ますと、シャワーを浴びたり、おにぎりやサンドイッチを食べたりした。

夜9時を過ぎて、やっとベッドから離れ、

身支度を整え、向かい合ってコーヒーを飲む。

「美味しい。」と息を吐くと、

「今日は結構運動したね。」と裕人さんがくすんと笑う。

「…かなりヘトヘトですが…」

「そう?健闘してくれたってことかな?」

「裕人さんは疲れなかったんですか?」

「うーん。まだ頑張ろうと思えば、頑張れるけど?」

「…もう、頑張らなくていいです。」と私が眉間にしわを寄せて見上げると、

「はいはい。お腹空いたね。どこか近所でご飯を食べて送るよ。」と裕人さんは笑った。



車で移動し、チェーン店の和食屋さんで食事をする。

私は海鮮丼のセットで、裕人さんはヒレカツの定食だ。

「美味しい。」と空腹に染みるお味噌汁を飲んで私がいうと、

「リンの味噌汁の方が美味い。」と私に微笑みかける。

「私のお味噌汁は煮干し出汁なんで、カツオ出汁とは違うかな…」

「へえ。出汁も取るんだ。」と驚いた声を出すので、

「お味噌汁だけですよ。…簡単だから。
煮物とかは市販の顆粒出汁も使いますし。」と言うと、

「また、味噌汁作ってくれる?」と私の瞳を覗く。

「いつでも。」とちょっと顔を赤らめて言うと、嬉しそうにうなずいた。
< 81 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop