嘘つきな恋人
翌週、私の夜勤明けの夜に裕人さんとDragonで待ち合わせて、食事をする事にした。

さくらさんと、ドラゴンと顔を合わせるのがかなり照れ臭いけれども、

お付き合いを始めたことを黙っている訳にもいかないよね。

結構、今回のゴタゴタではお世話になった。

さくらさんの好きな鎌倉駅の和食屋さんで、有名なだし巻き卵をお土産に購入し、

Dragonを訪ねる事にした。


ドアを開けると、裕人さんがカウンターで微笑んでいる。

「よう。やっと陥落したんだって?」とドラゴンが私にウインクする。

私が赤くなって

「何を言ったんですか?!」と裕人さんの顔を見ると、

「ええ?変な事は言ってないよ。
この間初めて手料理を食べた事と、リンの部屋のベッドが狭いって事。」

顔がぐわーっと赤くなる。

「リン、ベッド買い換えてもいいかな?」と裕人さんは私に笑いかける。

「か、帰ります!」とお土産の紙袋をカウンターに置いて、出て行こうとすると、

「待って。一緒にだし巻き卵食べよう。買ってきてくれたんでしょう。」

とさくらさんが私の前に立って笑った。

私は恥ずかしくて、さくらさんの前で俯く。

「私は良かったなって思ってるんだよ。
三島さんは私たちの前では美鈴の話ばかりするし
…どうやら本当に好きなんだなって思ってるから。」

と私の手を引き、裕人さんの隣に座らせる。

「顔の割には身持ちも固そうだし。」

とドラゴンが私の前にビールとさくらさんにオレンジジュースを渡す。

「とりあえず、乾杯って事で。」

と裕人さんも言って、4人でグラスを合わせ、乾杯。と小さな声で、笑い合った。

裕人さんは楽しそうに…

私は真っ赤な顔のままで…。
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