嘘つきな恋人
私達は付き合うようになって、
お互いの家を行き来するようになり、
時折映画を見たりショッピングをしたりするようになった。

私が勤務が不規則なので、クリスマスも年末年始は休めなかったけど、
裕人さんの家で2人きりでケーキを食べたり、
紅白歌合戦を見たりして過ごし、

お正月が終わってから、
休みを合わせてみなとみらいのホテルに2泊3日で泊まって、贅沢に過ごした。

私は古くなっていた。と言っていた裕人さんのお財布を一緒に選んで贈り、

裕人さんは私に小さなハート型のルビーのピアスを贈ってくれた。

大人っぽい高級品。

ブランド物のそのピアスは私が最初のデートの時に『綺麗。』と見たものだ。

通路からよく見えるショーウィンドウに飾られた
美しいピアスに一瞬足を止め、
私が見つめていたのに
裕人さんは気付いていたに違いない。

私が驚いていると、

「リンに似合うって思ったんだ。付けてくれる?」と裕人さんが言う。

「もらっていいの?」とポカンと口を開く。
(ショーウィンドウに飾られていたものだから、
小さなピアスでもきっと高額だっただろう。)

「返品されても俺はピアスをつける趣味はないし、リンが付けているのを見るのは好きだよ。」と笑ってくれた。

「大切にします。」と言うと、
「ディナーの時に付けてね。」とキュッと抱きしめてくれる。

すごく嬉しい。

私が『綺麗』と見たものを覚えていてくれた。



私達は最初デートの時に行ったフレンチレストランで食事をし、
夜景の見える部屋で何度も抱き合って、

愛してると囁き合い、朝方空が明るくなるのを一緒に見てから、

今年もよろしく。

と一緒に眠った。


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