【完】こちら王宮学園ロイヤル部
初対面なのに、そう思うほど。
その微笑みは優しくて、手を伸ばして、彼の白い頬に触れる。高熱があるとは思えないほど冷たい頰に、わたしの手を介して温度が伝わる。
調和するって、こういうことだと思った。
「熱、あるんじゃ……」
「ああ……椛が、言ってたの?
さっきまでは高熱だったかもしれないけど、もうへいきだよ。元の体温が低いから、すこし熱があるだけで、椛はうるさいよね」
「や、でも、」
熱があるなら寝なきゃ、と。
頰にふれていた手を額にあてれば、たしかに熱はないように思う。……ほんとにだいじょうぶかな。
面倒見ててって言われたのに、さらに熱が上がってました……とか、シャレにならないし。
ふつふつと考え込んでいたらそれが読めてしまったようで、ルアくんはふっと笑った。
「ほんとうに、へいきだよ。
ルノの方も、きっと、そろそろ熱下がると思う」
「え、」
「ぼくと、ルノ、共鳴してるところがあるから。
熱を出すのもおなじとき。何か大きな感情を感じ取ったときなんかも、共鳴しやすいんだよ」
共鳴、というのは、テレパシー的なものだろうか。
ルノくんよりも、ルアくんのほうが、共鳴を感じ取りやすいらしい。それがどういうものなのか、わたしにはわからないけれど。
「椛がさっき、ゼリー買ってきてくれたんだって。
たくさんあるみたいだから、いっしょにたべよう?」
「あ、うん……」
なんだか、ペースにのまれてしまう。
猫みたいなヤツ、と言っていた椛の言葉を思い出して、たしかに猫っぽいかもしれないと綺麗な彼の表情を見つめた。