【完】こちら王宮学園ロイヤル部
約束?と首をかしげるわたし。
なんかあったっけ、とそんなわたしの反応はどうやら想定済みだったようで、ため息をついた大和は「だから、」と口を開く。
「デート」
「あ……」
「お前テストあるから夏休みがいいって言ってただろ。
自分で言って忘れてんじゃねえよ」
「ごめん……あとでまた連絡すればいい?」
「おー。
あと、花が最近お前が来てくれないって嘆いてたぞ」
「え、じゃあ今日帰り大和の家行くから一緒に帰ろ!
放課後教室行くからそっちで待ってて」
そう言えば、「ん」と返事した大和が、「それじゃあ」と踵を返してもどっていく。
ぱたんと扉が閉まればリビングが静かになって、「いけ好かねーな」とつぶやいたのは莉央。
「そうね。あたしたちの前でこんなに堂々とお姫様をデートに誘う精神だけは褒めてあげるけど」
「っていうか、南々先輩。
あのヒトと、デートの約束してたんですか?」
「え?あ、うん……
たぶんデートって言ってるだけだと思うけど……」
一緒に帰ることもあるし、別に今更そこに深い意味なんてない。……と、思う。
みさとにはなんとなく気まずくて、大和に誘われたことは言えなかった。
「ふふ、なんでそんなにみんな怒ってるのよ。
姫ちゃんも女の子なんだから、好きな男からデートに誘われたら、深い意味がなくたってうれしいわよね?」
「え、別に好きではないですよ……?
あ、えっと、好きですけど、恋愛感情とかじゃ、」